スピン球を使った対抗策も、ジャンプショットも簡単には打たせてもらえず、防戦一方のエーちゃん。
神田はリスクを負い続けるわけにもいかないと、1球でも早く決めようと、厳しいショットを連発。
威力もあり、深いくコースもいい。
このままではエーちゃんはサービスゲームなのに、後ろに下がったままで攻撃もできない。
神田は際どいコースを狙うが、アウト。
30-30となる。
球1つ分と危うかったものの、ミスらせたのだと、敢えてポジティブなエーちゃん。
一方の神田。
際どい所を狙ったのだから仕方がないと。
攻めに転じることを許さなかったところまではよかった。
無理してミスるのは非効率、それは確かに正解。
でも正解は一つじゃないと、神田ここで、意表をついた強引なライジング。
この強烈なショットにエーちゃんは、反応しきれない。
が、これもアウトとなり、40-30。
1ブレイクされているからといっても、強引すぎる。
しかし、鹿梅の応援はこの強気を称えるように、応援が増す。
攻めた末の球1つ分のミス。
でも、神田はこのミスを非効率だと思わない。
それは1年前――。
神田はオフにも関わらず、疲れ果て、寮の部屋で扇風機すらないことを愚痴っていた。
すると同室の仲間にうるさいと一蹴される。
が、また別の仲間がそれをなだめる。
神田がこれだけ疲れているのは、試合に勝ったのに、『守備的すぎる』ということで罰走20kmがあったため。
が、そんなのは鹿梅ではよくあること。
でも逆に試合で負けても、超強気でいけばスコ負けしても褒められる。
とにかく監督に弱気だと判断されたら地獄が待っている。
負けたら意味がないと言う神田。
しかし、最近強気でいくのも悪くないと感じると言われる。
それは罰を受けたくないからというわけではない。
例えばあと50cm内側だったら強い先輩からもエースが取れたなど、何だか強くなった自分が想像できた。
失敗は成功の元、思い切って失敗してみなければわからないこともある。
監督がムチャクチャ言っていると感じることはあっても、事実、鹿梅はあの監督の下で何度も全国制覇を果たしている。
何の根拠もなく言っているわけではない。
まぁ、そう思わなければやっていられないというのもあるが……。
後日、神田はほとんど負けたことがない加藤相手に6-2と大負。
それは監督の指示通り、超強気で攻めた結果だけに、思わずイラっとする神田。
が、監督はその攻め続けた神田のプレーを悪くはなかったと。
「人は本能的には戦いを避けて守るものだが、いざ戦いとなれば攻めて勝ちたいものだ。お前はより本能的に戦うことができたんだ・・・・。それで、お前はどう思った?」
「い・・今の自分のストロークの限界がわかりました・・・・。だから・・それは・・・・超えなきゃと・・・・」
「それでいい。だが、そのまま攻め続けると、いつか必ずお前の弱気が顔を出す。守った方が楽に勝てると言い訳しながらな・・・・。その時は、とにかく自分が超える壁だけを見て何とか弱気を振り払え・・・・。苦戦は続くかもしれんが、一度その壁を登るんだ。今までの失点が加点になった時世界は一変する。攻めた上でのミスこそが上達の種だと・・・・。挑戦の証だと誇りに思える時が必ず来る」
そんなことがあったから、神田は強気に攻める。
するとネットに球が当たり、跳ねる。
が、結局エーちゃんのコートに落ちることはなく、このゲーム、エーちゃんがキープ。
エーちゃんは何とかキープしたものの、 スピン球での展開が攻略されてきていることを実感。
ただでさえ既に1ブレイクを許しているのに、このままでは次のサーブゲームは簡単にキープできそうにはない。
だからこそ、その前にリターンゲームで流れを食い止める。
スピン球の展開から攻め込まれる前に、何とか突破口を見つけなければならない。
が、いきなりのサービスエース。
せめてスピン球の展開まで持ち込みたいエーちゃんだが、先ほどまでミスっていた球威が入りだした神田のストロークの前に、ポイントを許してします。
リターンゲームとはいえ、こう攻め込まれてしまうと突破口を見つける余裕はない。
下がってスピン球の展開でも、どんどん攻め込まれてしまう。
一方の神田。
(この展開から攻め倦んでるなら・・・・散々ミスった分をとり返させてもらう。こっちは走るのも、飯食うのも、クソすんのも急かされて生きてんだ! ノートでのんびり考えてんなら、その間にドンドン先に行くぜ!)
と超強気の攻め。
エーちゃんに考える暇を与えずに、このゲームをキープ。
リターンゲーム一方にやられたエーちゃん。
もう強いスピン球の展開は攻略されたのだと理解。
そのスピン球にミスを繰り返しながら、真正面から攻略された。
ミスを待っていたわけではないが、結果的にはそれしかできなかったのが現実。
次にどうするか考える考えている間に一気に攻略されてしまった。
全てが速い。
脚も球も展開も調子を上げてくるのも、戦略を攻略してくるのも。
これが神田の強さの特徴。
(あらゆる速さについていけない・・・・。このままじゃ・・・・岡田くんとの試合の後半みたいに追い込まれる。でもあの時は、何とか勝った・・・・)
そう考え、エーちゃんはノートを手に――というところで次回<#242 効率>につづく。
エーちゃん、またしても追い込まれる。
第1セットはとことん神田ペースだなぁ。
今のところ神田を攻略できそうな雰囲気は感じられません。
とりあえず、エーちゃんノートで何かしらヒントを得ることができるのか?
しかし、今回は鹿梅の練習方針というか鹿梅精神に初めて、共感――とまでは言えないのですが、ちょっとだけ納得できました。
でも、まぁ、やっぱりこの方針はあくまでの名門強豪校だからこそ活きるものなんですよね、きっと。
しかし、次回サブタイが『非効率』の後の『効率』。
今回が神田のターンとなると、明らかにエーちゃんのターン。
ノートで何かを発見。
反撃の狼煙を上げることになるのか?
ベイビーステップ(24) (講談社コミックス)
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