白熱する女子決勝の一方、エーちゃん不在の男子決勝。
第1セットは6-4で難波江、そして第2セットは2-3でタイ。
エッグボールで押す神田。
(このエッグボールは何度やってもやっかい・・・・。低い打点で打たせるために、ここは・・・・、スライスでコースをつく)
それに対し、神田は鋭角ショットで勝負。
が、それを読んでいた難波江は素早く反応。
(狙うなら丸尾くんとの試合で多用してた、実戦経験の少ないこの球・・・・)
それをバックでストレートに。
(もう後悔はしねえ・・! 攻めるんだ!!)
そう強い思いを見せる神田はそのショットに飛びつき、決め返す。
これで、神田はこのゲームをブレイク。
4-2となる。
そして女子決勝。
第2セットは清水さんが先にブレイク。
しかし、なっちゃんはそれでも前へ出る。
かと思いきや、前に出るフリ。
チャンスボールとなった所を、強烈なフォアで決める。
いつもより、戦略的で落ち着いているなっちゃん。
その表情はいつもより楽しそう。
それはエーちゃんも、そして清水さんも感じるほど。
(楽しそう・・・・・・・・。そういうの・・・・わからなかった。でも今はわかる・・。丸尾くん・・、鷹崎さん・・ありがとう・・・・。おかげで、私は自分を知ることができました)
(いつも以上に強い・・・・。でも、絶対挽回できないほどの差じゃない。いつもより強いアキちゃんを・・・・超える!)
なっちゃんが思い出すのは、以前の葛藤のこと。
ウィンブルドンに出たいと思ったこと、また清水さんに負けたこと、このままじゃプロになっても意味がなく、どうすればいいのかわからなくなったこと。
そんな時に出会ったエーちゃんに『テニスが趣味』と言われ、気づいたこと。
(趣味なんかじゃ終われない・・・・。大事な・・・・、ずっと目指してた私の夢。もう迷わない・・。私はプロになる・・! 大好きな・・・・テニスのプロの選手に・・!!)
そう強く思うなっちゃんは、即座にブレイクバック。
白熱した試合が続く。
(2人はもう次の次元で戦ってる・・・・。プロの次元で・・)
そして最後、なっちゃんがサービスエースを決め、6-4、そして6-3で優勝を決める。
初めての清水への勝利、優勝を決め、うれし泣きのなっちゃん。
この熱戦に当てられた観客たちの反応も上々。
そしてえーちゃんも、なっちゃんは絶対にプロでやれると確信。
それをできる限り応援していきたいと。
女子の決勝は終わったものの、男子決勝はまだやっている。
それを観に行くかと青井コーチに誘われたエーちゃんだが、そちらは見に行かず。
そしてエーちゃんが見に行かなかった男子決勝。
こちらは6-4、7-6で難波江が優勝を決め、2連覇を達成。
最終セットまでいけばわからなかったという観客の反応。
そして負けを悔しがる神田も、間違いなく差は縮めたという実感はある。
そしてそんな神田に声をかける鹿梅の仲間たち。
「今日をもって鹿梅はお前ら2年生の代になるわけだが・・・・、お前はどうするんだ? 海外にでも行くつもりなのか?」
そんな中、白江に図星をつかれる神田。
勝手に練習メニューを増やしたりと、神田の行動から既に予想はついていたとのこと。
そんな中、監督も。
「鹿梅で何百人もの生徒を見てきたけどな、たまにいるんだ、お前みたいな奴が。何を教えても、どんなに抑えつけても跳ね返ってくる、枠に収まり切らん奴がな」
そんな言葉に思わず、自分の意見を主張しようとする神田。
だが、その前に監督は続ける。
「だが・・それくらいじゃなきゃあ、プロ・・ましてや世界で戦えねえ」
そう言って、目的意識がしっかりしているなら好きにしろと。
そしてエーちゃんは決勝を戦った4人にメダルがかけられる様を拍手で。
こうして、一週間にわたって繰り広げられた全日本ジュニアテニス大会は幕を閉じた――というところで次回<#266 活躍>につづく。
男女ともに、意外とと言っては何ですが、あっさりと勝負がついてしまった印象です。
まぁ、どちらも2セットで決着がついてしまったからでしょうが……。
しかもどちらもブレイクバックを許しての展開ですから、余計に。アレっ? 的な。
まぁ、おそらく、なっちゃんが今後清水さんのライバルとして活躍していくには、ここは落とせない試合だったというべきなんでしょうね。
絶対に。
おそらく、清水さんは今後も若干安定性に欠けるかもしれませんが、自分のテニスを始め、やがて完全にモノにし、爆発的に強くなる……ことでしょう。
その前に叩けたというのは大きいと思います。
一方のなっちゃんですが、今まで苦手にしていた清水さんを破ったことで、自信が深まったかと。
そして試合中に迷いを捨てた『プロになるという』絶対的な決意。
なっちゃんのメンタルなら、これらが全てプラスに働くかと。
下手をすると、しばらくの試合ゾーンに入っているくらいの状態で試合に臨めるんじゃないかと。
まぁ、私見ですけど。
でも、ひょっとしたら女子の方は、なっちゃんの天下がしばらく続くのかも。
まぁ、プロにはなちゃんよりも明らかに格上という選手がいるかもですが……。
で、その絶好調のなっちゃんに挑むのは、完全に自分のテニスをモノにした清水さん。
って、なに、それ。
完全に清水さん主人公ポジです。
で、まぁ、意外とすんなり海外……留学? 進出? が認められた神田。
白江が意味深な視線を神田に向けていたのは、この辺が理由かぁ。
あとは、監督のセリフも、まぁ、納得かなぁ。
エーちゃんとの試合中、個人的な鹿梅への意見は書きましたが、ここに来ても、何というか微妙なところ。
実力があり、目的意識もあるなら、黙認って所でしょうか。
正直いうなら、もっとこう、背中を押すくらいの流れだったほうが僕好みだったかも。
まぁ、とにかく、全日本ジュニアも終了。
いや、ホント、今後の展開はどうなるんだ?
まぁ、やんのかんの書きましたが、正直、なっちゃんの優勝した瞬間の歓喜の涙をみれたのが、満足だったりします。
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