第2ゲーム、何とかキープしたももの、タクマさんのミスに助けられたという内容だったエーちゃん。
タクマさんはプロになってからリターンゲームの戦い方が変わったと感じる。
以前はリターンゲームでもとにかく前で勝負しようとし、ストロークは前に出るための手段でしかなかった。
しかし最近はストロークどころかリターンから決める積りで勝負に来ている。
そのせいで今はミスが出て助かっているが、あれが入るようになったエーちゃんのサーブキープはかなり大変になってくる。
と、そこまで考えたところで、慌てて頭を切り替える。
自分のサーブゲームの前に、タクマさんの強烈なサーブ&ボレーにどう対応するかと。
強烈なサーブからの、鋭いボレー。
何度もやられた分だけ対策はあると。
しかし、タクマさんのサーブはセンターへの220キロ。
エーちゃんの反応も間に合わずエースにされる。
対策があっても、まず返さなければ、何も始まらない。
それにタクマさんのサーブが最初より走ってきている。
これだけ強烈なサーブを打つのは、エーちゃんの経験では他にはピートくらい。
そのピートはフォームに癖があったため対応できたが、タクマさんの場合、どんなサーブも全く同じ完成されたフォームで打ち分けてくる。
センターへのサーブは198キロ。
だが、これがフォルトとなり、今日初のセカンドサーブ。
ファーストサーブより球威が落ちるここでポイントしていかなければエーちゃんに勝ち目はない。
タクマさん今度もセンターへ。
今度はスライスの184キロ。
セカンドでも速いサーブ、しかし、前には出ていない。
それでも何とか深くリターン。
そしてストローク戦になると、まず深く返すエーちゃん。
その中でもエーちゃんは、チャンスと見て、すかさず前に出る。
するとタクマさん、バックハンドでのクロスで強引にエーちゃんを抜こうとするが、エーちゃんこれに飛びつき、何とかフレームに当てる。
するとそれが、ギリギリのところでネットを越え、15-15とする。
しかし、際どくても何でもタクマさんのセカンドサーブからポイントすることが大切。
そうすればタクマさんもファーストサーブを入れなきゃという重圧もかかる。
とはいえセカンドサーブになるのをただ待っているだけでもダメ。
ということで、エーちゃんは早速、動きを見せる。
それはリターン位置をかなり後ろに下げるというもの。
下がればその分打点の球速は落ち、返せる確率も上がる。
しかし、その分守備範囲は広くなり、相手に時間を与えてしまうマイナス面もある。
タクマさんの201キロのサーブ。
それにまずはとにかく触る。
しかし、そのリターンは本当に触っただけで、浮いてしまう。
ノータッチでやられるより、可能性があるだけマシと考えるエーちゃんだが、タクマさんのスマッシュにやられて30-15。
よって、ただ返せばいいというわけではない。
もっと深く、またエーちゃんの体勢を立て直すだけの滞空時間も必要。
タクマさんのサーブは尻上がりに調子が上がることが多いので、既に厳しいが序盤こそチャンスなのだと。
タイミングが大事と、タクマさんの動きを見て、反応。
190キロのワイドへのサーブ。
これを高いロブで返す。
それはサーブ&ボレー対策の一つ、うまくいけばタクマさんを後ろに釘付けにすることもできる。
とはいえ、こうなると当然高い位置からの強烈なショットに見舞われる。
それでも、それは覚悟の上。
タクマさんの強烈なフォアのクロスを、一か八かのダウンザラインで勝負に出る。
するとこれがギリギリライン上に入り、30-30。
要約タクマさんのファーストサーブからポイントできた。
無理はしたものの、タクマさんの得意な展開にさせなかった。
こうやって時々でもファーストサーブからポイントできれば、いつかブレイクのチャンスが来ると。
するとタクマさんの22iキロのサーブ。
これにエーちゃんは反応できなかった――と思いきや、ギリギリのところでフォルト。
ギリギリだろうと、セカンドのチャンスはリターン位置を定位置に戻し、重圧をかけていく。
さらにタクマさんがダッシュして来るかどうかを、脳内でシミュレーションしておく。
ダッシュをしてこないなら、先ほどの様に深く返して、エーちゃんの方がリターンダッシュで勝負をかける。
またダッシュしてくるなら、なるべく早いスピンで足元に沈め、次の球で勝負。
タクマさんのサーブはセンターへ、そしてサービスダッシュ。
ということで、エーちゃんはシミュレーション通り、足元に強いスピンを。
いくらタクマさんでも、これを速球で返すのは無理。
その上で、1ゲーム目でやられたドロップを警戒しつつ、次の球に備える。
するとタクマさんのショットはクロスに深く狙ったもの。
ここでの体勢は互角ならと、エーちゃんは勝負に出る。
クロスへの強打で、前に出ていたタクマさんの横を抜こうとするが、タクマさんが腕を伸ばすと届く。
が、無理をして打った球はネットを越えず。
これで30-40、エーちゃんいきなりのブレイクポイント――というところで次回<#320 性質>につづく。
エーちゃんが積極的に動いた分、いきなりブレイクのチャンスを迎えたって感じですね。
正直言って、ここを逃したらブレイクするチャンスなんて来なさそうですし。
ここは何が何でもブレイクしたいところです。
今のところはリターンでの深いロブも有効ですが、いつまでも続けられる作戦でもないですもんね。
ここをブレイクできれば一気に流れを掴めそうですが、ここをキープされてしまったら、逆にエーちゃんのピンチな気もします。
どうなりますかね。
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