池の扉絵です。
――タクマ戦、第2セット終盤、今が勝敗を分ける時。
って感じです。
第2セット、5-4とギリギリの土壇場で追いついたエーちゃん。
その喜びを噛みしめる。
「あのタクマさんのサーブを、あんなふうにリターンできる奴・・・・、今の日本にどれだけいますかね・・・・」
そんな言葉を思わず漏らす池。
一瞬呆気に取られていた三浦コーチもその言葉に続く。
「確かに・・今のはそのレベルだな。そう言えば丸尾くんが一番最初に武器にしたのもリターンだったな・・・・」
正確に球を捕える目の動きも、リターンで最も重要と言われる経験値も、タクマさんとやることで鍛えられてきた。
エーちゃんのおかげで今のタクマさんがあるように、今のエーちゃんもまたタクマさんによって成長してきた。

「日本一のビッグサーバーは、屈指の李ターナーを育て上げようとしてるのかもな」
そこで試合を終え、エーちゃんの応援に駆け付けたなっちゃん。
スコアを見て、エーちゃんのセットダウンを知るが、エーちゃんの様子から大丈夫だと確信。
一方のエーちゃん、コートチェンジの間に、ノートを書くが、ここでまた手が震えてくる。
でもさっきはこの重圧をいい方向に向けることができたと。
その感覚はゾーンに近かったと。
ゾーンのことは理解しきれないが、重圧が関係していることは確か。
だったらと、分かっている重圧を書き出しておく。
・この試合で負けたらプロになれない。
・負けたらタクマさんにも一生勝てない。
・次のゲームを取られたら負ける。
・現状、勢いはこっちにあるが、スコアはまだタクマさんが有利。
・勝てるかもしれない・・という気持ちが出てきて勝ちたいと思いすぎて、それが重圧になっている。
・今の勢いがこのセットを取るまで、さらには最終セットまで続くとは限らない。
勝てそうになって掛かる重圧もある。
他にも重圧があったため、やはり今の重圧は普段よりも断然強くて、数も多かった。
こう考えると重圧が強くて多い時の方が、それを力にできた時は強いのかもしれないと。
それでもプレーに入ったら頭が真っ白になって、シンプルに一番大事なことだけを考えてた。
それなら一番大事なことは何かと自問。
自分を信じる事――では漠然とし過ぎている。
ファーストサーブの確率を高める――では細かすぎる。
エーちゃんは負けを覚悟してからサーブゲームは自分のテニスでキープできている。
その時、何が良かったかと言えば、開き直って攻撃的にいったこと。
ということで、一つだけ考えるなら『攻撃的に』。
するとエーちゃんのサーブは190キロと今日最速を計測し、エースとなる。
なら、このまま行けと攻撃的に攻める。
ダウンザラインを狙ったショットは、そのまま決まり、30-0となる。
池から見てもこれはすごいこと。
それだけの調子のエーちゃん、自分でも今最高の状態だという自覚。
ワイドへのショット、これでタクマさんは体勢を立て直そうとしていることが分かり、山なりの球でテンポを変え、時間を稼ぐつもりであると。
そうするとエーちゃんはライジングでその時間を与えない。
これでさらに有利となり、タクマさん相手にやりたい事が全部できている。
完全に体勢を崩したところで、戻っても取れないくらいの球威とコントロールでオープンコートにコントロール。
これにはタクマさんも追うことができず、40-0。
エーちゃんのショットが簡単に決まり始めた。
池もエーちゃんがゾーンに入ったと判断。
青井コーチも、究極の重圧をを崖っぷちで処理、それで得たブレイクの達成感、その後も続く重圧、いろいろあいまってハマってくれたと。
(攻撃的に・・・・。どこにどう打てば攻撃的なテニスかを想像するだけ・・・・。それさえできれば、その球威とコントロールで・・・・、決まる!!)
最後にダウンザラインに決め、エーちゃんはこのゲームをキープ。
これでゲームカウントは5-5。
神がかり的なエーちゃんに。
タクマさんもここをどう耐えるかが問われる展開。
エーちゃんはリターンゲームでも、攻撃的に。
前と同じように、確率が高い方へ1歩、今回はセンターへ。
するとタクマさんのサーブはセンターへ。
しかし、ネットに引っかかり、フォルト。
(丸尾くんはタクマさんのサーブって壁を、時間をかけて根元から少しずつ崩していったからな・・・・。タクマさん・・・・、根っこから修正しないと大変なことになるよ)
池もこの状況に、タクマさんの危機的状況を感じることに。
タクマさんのセカンドサーブもセンターへ。
これをリターンエースで決めるエーちゃん。

その後も、タクマさんのサーブは精彩を欠き、エーちゃんがタクマさんを圧倒。
今までにない一方的な展開となり、エーちゃんが連続ブレイクに成功。
このセット逆転。
もうマッチポイントから、ほとんどエーちゃんがポイントしているほど。
タクマさんは調子の悪さが、サーブから全体に及んできた感じ。
手ごたえを掴むエーちゃんとは裏腹に、絶不調のタクマさん。

ラケットふ振り上げ、キレる――か?
――というところで次回<#338 驚愕>につづく。
エーちゃん、ゾーン持続。
タクマさんを圧倒です。
サーブゲームだけならいざ知らず、リターンゲームまで圧倒ですからね。
いくら同時にタクマさんの調子も落ちていたとはいえ、こんな展開はマッチポイントを握られるまで、想像できませんでしたよ、ホント。
正直言って、ここまでやられたら、タクマさんじゃなくても、キレそうになりますよ。
とはいえ、ここでキレたら、集中力もキレそうですよね。
タクマさん、この試合最大の踏ん張りどころかもしれません。
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