渡邊さんとの試合。
1ブレイクで迎えた2ゲーム目、サーブゲームも好調のまま15-15のエーちゃん。

(前にゾーンを感じた時は・・不思議な感覚だった。眠った力が発揮されたような・・・・。でも今日は違う・・。驚きはあるけど、やったことには納得できてる。だけどゾーンは突き詰めるとわからなくなってくるから・・・・これ以上意識しない)
エーちゃん、サーブはとにかく力勝負から自分の意もちを守るつもりで。
ワイドへ鋭角の厳しいサーブ。
しかし、渡邊さんは、悪い流れを断ち切るべく、力で押す。
いいサーブだったものの、渡邊さんの力押しでのリターンで、優位はなくなる。
その上で、渡邊さんは力で勝負でき、ダウンザラインも狙わせないセンター狙いのショット。
一方のエーちゃん、渡邊さんの力に応戦するには、武器のダウンザラインに繋げたい。
そのための選択肢は3つ。
① こっちからクロスを打つ(力勝負に持ち込む)
② 守備位置を空けて誘い込む
③ ひたすら深く打ち続けて待つ(いつかはクロスを打たざるを得なくなるまで)
こういう劣勢で苦しい時ほど、王戦で学んだ無意識に逃げる自分に敢えて苦しい選択を取る。
というわけで、ここは③
クロスにくるまで、なんとか生き延びる。
渡邊さんの深くて強いショットに苦しむエーちゃん。
それでもリズムに乗ることで、この渡邊さんの猛攻に耐える。
それでも、いつでも武器は出せるよう準備は怠らずに、自分の命を守る。
(あまりクロスを避けると単調になって優位が広がらない・・・・。なら球威を上げて・・・・)
この展開に焦れた渡邊さんが、クロス強打。
これを待っていたエーちゃんは、素早く対応。
このエーちゃんの動き出しに、渡邊さんはダウンザラインを警戒。
しかし、第1ゲームでやられたクロスが脳裏を過る。

どちらも警戒するあまり、渡邊さんの動きが止まる。
(いける・・・・。怖かった日本代表の精神力も・・・・。怖がりな自分も・・・・。超えられる!)

思い切って1/100のダウンザラインでのウィナー。
30-15とする。
(渡邊さんに力で押さえこまれた状態から・・・・、優位を奪い返してのポイント・・・・!)
これは会心のポイント。
その上で、渡邊さんの頭にダウンザラインがある内に、今度は鋭角クロスを打ち、前へ。
そしてボレーで逆クロスに決め、40-15。
完全に振り回されている渡邊さんの表情は暗い。
(やろうとしてたことが全部完璧にできると、こんなにうまくいくんだ・・・・)

(プロになって、ここまでやってきたことが・・・・、この大会で得られた全部が・・・・、今このプレーに集結してる)
ダウンザラインへのショットは渡邊さんに拾われるものの、エーちゃんはこれで優位に。
(試合はどんなことでも起こり得る。だからって・・・・ここまでやられていいわけがない。若手に苦しめられ負けるなんて、よくあること。でも、ここまであっとうされるなら、俺にも原因がある)
ここで渡邊さんはただ力だけに頼らず、プレーを変える。
エーちゃんのショットを拾い、前で勝負。
しかし、エーちゃんはこの渡邊さんのアプローチショットに完全に回り込む。
渡邊さんはまだネットまで詰められていない。
これではダウンザライン、鋭角クロス、どちらにも抜かれる。
ならばと、ダウンザラインだけでもフォロー。

それを視界の隅に捉えたエーちゃんは、クロスを選択。
これで、このゲームをキープ。
頭の2ゲーム、完璧な試合展開を見せるエーちゃん。
このエーちゃんの成長になっちゃんはこの試合はいけると判断。
(うん・・・・。この試合はいけそう・・・・)

(きっとエーちゃんが勝つ・・・・。ってことは・・・・明日は会えないんだね)
エーちゃんの成長がなっちゃんの覚悟を後押し――というところで次号休載。
<#430 全能力>につづく。
2ゲームを終えて、完全にエーちゃんが試合の流れを掴んでいる感じです。
なっちゃんが勝ち確を感じ、翌日の渡米の際にはエーちゃんと会えないことを感じてしまうほどに。
まぁ、なっちゃんの勝ち確判定は微妙に外すこともありますが……。
まぁ、今回は大丈夫かなぁと。
しかし、渡邊さんからすれば、如何ともしがたい展開ですかね。
頼みの綱の力勝負なら、互角以上の展開には持ち込めるものの、決めきれない。
変化を付けようとすれば、狙われる。
戦術を変えても、先回りされる。
うん、これは手の打ちようがないですね。
試合序盤とはいえ、これだけやられて、折れずにいられるかどうか。
あー、これはなっちゃんが勝ち確するのが分かります。
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