
ノート分析VS.地頭分析!!
理と理がぶつかり、更なる高みへ!
というわけで巻頭カラーです。
守備位置を後ろに下げたことで、見えた微かで僅かな糸口。
それを頼りにクリシュナに追いすがるエーちゃん。
まずはクリシュナのサーブにも、後方の守備位置で対応。
そこから、ベースライン1.5以内を狙い、逆襲されず安定する球威で、コントロールし続ける。
その上で、ドロップは常にケアすることで、劣勢でもラリーは続く。
膠着状態になったら次のステップ。
できるだけ安全で、クリシュナが苦しむピンポイントの場所を割り出して、1/81でコントロール。
(こっちが優位でも決定打にいかないと微妙に攻めてくる。それなりに足を使わされる上に安定した配球になってる)

(絶妙な場所を割り出したら・・、打点を正確に合わせて・・・・コントロール)
決定打にはならないが、厳しいショットを続けるエーちゃん。
(いちいちペースが変化するから神経を使う)
――打点を合わせてコントロール。
(安定したショットの範囲内でできる限り攻撃的にということか・・・・)
――打点を合わせてコントロール。
それでも、今はクリシュナのサーブゲーム。
どうするかは、クリシュナ次第。
(前は終始警戒されてる・・・・。あんな後ろへの強打は効果的じゃない・・・・。なら・・・・)
クリシュナの勝負の鋭角クロス。
これが打たれた瞬間にエーちゃんは、即座に動き出す。
(前をケアして、後ろで耐えたら、鋭角にくるのは予想できる・・・・)
しかし、これがあと一歩及ばず、30-30とされてしまう。
(わかってても取れない決め球・・・・。ここも無理をさせるまではできた)
このゲームに入って、見ごたえのある長いラリーが続くようになってきたと観客もざわめく。
そして、この展開に大林も自身とエーちゃんとの試合を思い出す。
「なんか昔、丸尾くんと試合した時のことを思い出すな! シコラーの頃の」
「それは違いますよ」
と、それを聞いた諭吉は即座に否定。
「今のアニキは大林くんと試合した時とは雲泥の差です。あの時は逃げるだけでしたけど、今は狙いがありますからね」
と豪語する。
「確かに同じ粘りでも大違いか」

「あの時が逃亡者なら、今は逆に狙撃手なんです。・・・・フットワークとコントロールはアニキの攻撃の要ですから」
そんな二人の会話をすぐ前で聞いていた、宮本記者はなるほどと、納得。
そんな間にも試合は続く。
再び、緊張感のあるラリー。
エーちゃんは、この遠い距離からの適度な球威でリスクの低い場所へのコントロールショットの連続。
相手がガンガン打ち込んでくるタイプでないことが条件だが、このテニスは前の守備位置とは違う独特なリズムがある。
遠くの狙いと打つべき球を決めたら、打点を定めてスイングの繰り返し。
想像と単調作業のリズミカルな連続は、向いていると自覚。
このラリーを見る宮本記者は諭吉たちの話も合わせて、記事にすべき内容を考える。
(あんな遠くから淡々といい所に打つな。・・・・まさに狙撃の職人技だ。
ん・・・・? コレいいんじゃないか? 優秀な経営者と愚直な職人。さてどっちがいい仕事をするんだろうか?)
ここのポイントは、ラリー戦の末エーちゃんのショットがアウトとなり、40-30。
(クソっ・・・・。こっちがミスしちゃダメ)
続くポイントはクリシュナの鋭角ショットがアウトとなり、デュースに。
そしてクリシュナがアドバンテージを取り、エーちゃんがデュースに戻すしシーソーゲーム。
2ブレイクアップとはいえ、ここは落とせないクリシュナはギアを上げ、このゲームのキープを狙う。
ダウンザラインでのウィナーでアドバンテージを取り、続くポイントは前に出て勝負に。
エーちゃんも反応勝負に持ち込むため、足元に沈む球を打つが、クリシュナはこれをボレーで上手く捌いてこのゲームもキープ。
これでゲームカウントは5-0に。
ここでコートチャンジ、エーちゃんはノートに書き込みながら、情報を整理。
(すごく緻密な制御が必要だけど、意外に安全で差し迫った重圧は少ない。それに同じことの繰り返しだけど、想像力も必要で集中力がいる。そしてこの何とも言えないリズムが肌に合う・・・・)

(この守備位置も自分のモノにしたい・・・・)
とはいえ、すでに0-5の大ピンチ。
このサーブゲームでどこまでやれるのかで、この先が決まる。
一方クリシュナの、このままではいけないと、先ほどのゲームで危機感を抱く。
2ブレイクのリードを活かすべく、強気のリターン。
それでも、下がっている分、そのリターンで状況がひっくり返る事はない。
その上で、サーブの優位を活かして、攻撃的に。
打つ球を決めたら、安全な球威とコースに1/81でコントロール。
サーブの優位もあっての、ピンポイントコントロール。
これには、さすがのクリシュナのショットも、浅くなりチャンスに。
すかさず、エーちゃんはアプローチ。
次のボレーをしっかり決め15-0に。
(なんとか追いついて、打点を合わせて全ての球をピンポイントにコントロール・・・・。これって正に俺のテニスの第一歩・・・・)

(『全ての球に追いつき、それをコントロールできれば、理論上は負けない』・・・・)
気づけばまさに追い求めてきた展開――というところで次回<#441 悦>につづく。
というわけで、ウィンブルドン開催目前の巻頭カラーです。
あと、『錦織圭選手&エーちゃん、ウィンブルドンへの道!』ってな感じで、特集が組まれていますね。
まぁ、それはさて置いた本編の話。
経営者vs狙撃の職人。
エーちゃんのこの守備位置を突破するのって、中々に難しいものがあるんじゃないですかね。
ただのシコラーとしてもエーちゃんの守備力は厄介なのに、その上、安全で微妙に嫌な場所へのピンポイントコントロールって……。
ハードヒッターならともかく、クリシュナはリスクを上げることで突破しているわけですしね。
実際にリターンゲームでデュースを繰り返したことを考えれば、かなり効果的かと。
それにエーちゃんの肌に合っているのもいいですよね。
これ一辺倒では恐らく対処されてしまうのでしょうが、その間に情報が蓄積されて、更なる打開策を持ってくるのがエーちゃんですので。
これからの流れにも期待が持てるのではないでしょうか?
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