第2セットも終盤。

(守備位置を前に戻すのはリスクもあるけど・・・・。このゲームをブレイクして追いつくなら・・)
(ここで武器を出してくるとは思わなかった。・・・・でも、もうそうはさせない。この距離間は第1セットで僕が有利と証明済み)
この勝負所、クリシュナは左利き特有の外に逃げるコースに強いスピンサーブ。

が、それはずっと練習してきたサンチェス対策の範囲内。
ここでのエーちゃんの好リターンに、クリシュナの体勢も崩される。
(やっぱり・・・・。第1セットみたいに球を読んで対応はできてない。
11ゲームもの間、2m以上後ろにいた相手と長いラリーを続けてたら、簡単には適応できない)
(状況はわかってる。・・・・あとは身体の順応だけ・・・・)
突然変わった距離間に反応しきれないクリシュナ。
一方、エーちゃんは、このテンポが本来の定位置なため、すぐに順応できる。
(相手にサーブの優位はあるけど、これならやりようがある・・・・。相手がこのテンポに慣れないうちに・・・・)

バックハンドの強烈なダウンザライン。
これが決まり、0-30。
奪われた守備位置を、この一番大事な場面で取り戻ることに成功。

(第1セット・・・・。この状況で有効だったのは・・・・)
(第1セットでクリシュナにやられたのは・・)
お互いにこの距離間で戦った第1セットのことを思い。
((バックの高い打点へのスピン球・・))
完全に読み切ったエーちゃん。
(これが来たら一歩前・・・・。
一番力が入る打点で捕えて・・・・)

(迷わずダウンザライン(強)!!)
クリシュナも何とか触ろうとラケットを伸ばすが、届かず。
これで0-40。
ダウンザラインへのエース三連発でトリプルセットポイントのエーちゃん。
(いける!)
守備位置を取り戻しての、3連続ダウンザラインでのウィナー。
この流れに確かな手応えを得たエーちゃん。
(想定内だったか・・・・。
テンポについていけなくて、咄嗟に第1セットの成功に縋ってしまった。
僕も甘かったけど、そこを予測して逃さず攻めてくるマルオの勇気と決断力)
(このクリシュナのテンポのズレが、いつまで続いてくれるかなんてわからない。
・・・・そう考えたら、次をこのままいくか、さらに何か仕掛けるかは考えどころ・・・・)
(対抗するための目と身体の順応に近道はない・・・・。
地道に感覚さえ戻せれば、この距離は僕が有利だったことはわかってる)
クリシュナはセンターへのサーブ。
(サーブはファースト重視。
無理をするより、距離感覚を戻すことを優先。一歩下がってから徐々に戻せばフィットも早い)
と、一歩分、守備位置を後ろに下げるクリシュナ。
(いきなり来る相手の武器にも対応しやすい・・・・)
と、エーちゃんのダウンザラインに照準を合わせていると。
(後ろには逃さない)

絶妙なタイミングでのドロップ。
これにクリシュナは反応しようとするも、身体は動かない。
(うまい・・・・。ここまでのダウンザラインが効いてる)
観客席の浅野さんも、思わず感嘆。
このドロップが決まり、6-4。
第2セットを奪い返す。
この展開に、観客も騒然。
俄然、エーちゃんへの声援が増す。
(守備位置を極端に前後させてのチェンジオブペース・・・・。二つの守備位置を自分のモノにできたからできたんだ・・・・。
逃げずに戦ってきたから、俺はここまで来れたんだ)
そんな今までの練習、そして試合に確かな手応えを掴んだエーちゃん。
一方のクリシュナ。
滴る汗を止めるため、ヘアバンドを頭にし。
(一度、退いた守備位置を勝負所で取り戻しに来るとは思わなかった。後手後手に回って、取り戻そうと足掻くほど、先を読まれる悪循環に陥った。
マルオの情報分析と作戦立案はノートを使う分、非効率だと思ったけど・・・・・、ノートは一度アウトプットする分、未来を想像しやすいのかもしれない。
未来の想像・・・・。経営を心得ながら、そこで負けたくはない)
そんな強い思いを覗かせるクリシュナ。

一点優勢で、最終セットへ!
というところで次回<#445 未来の想像>につづく。
ダウンザラインでの3連続ウィナーからの、ドロップは……。
もう、完璧な展開としか言いようがないかと。
しかも、3本目はクリシュナの思考も読んだ上で、完璧に決めていますからね。
その後の、ドロップは、読んでいて僕も「ふぁ!?」ってなりましたので。
この第2セットはエーちゃんの強みがこれでもかってくらい出ましたね。
これで最終セットの流れはエーちゃんに向きそうですし、試合展開がどうなるのか分からなくなってきました。
まぁ、クリシュナが感情的になるとも思えませんが、このやられ方は、結構カチンとくるやられ方だと思いますので。
自分が有利だと思っていた土俵で完全にしてやられたわけですし。
スポンサーサイト