フロワード家迎賓館、そこに集う貴族達と不穏な空気のあるローランド国内。
それを眺めて薄く笑うミランと、更に遠くから様子を伺うピンク。
そしてライナ達。
フェリスが馬車を奪取、そしてその馬車で(ライナを置き去って)出発。
でローランド内。
いつものように食事を取る間もなく仕事中毒のシオンにエスリナが忠告。
シオンの元に来ているのは、民間から登用した優秀な人材の意見書と一部(元帥となったクラウ)の文句なんかが。
で、そのクラウ、シオンの所にフロワード領のアーキウメル地方での貴族の不穏な動きという報告を。
そしてその貴族達の集会。
その主催はステアリード公爵とミランの養父、カーラル・フロワード。
そしてこの件の本当の計画を立てた張本人、ミランの言葉は。
「まずここにお集まりの皆さんにして頂きたいことがあります。…………死んでください」
というわけで大虐殺の開始。
“黒叡の指輪”の影が次々に貴族達を襲う。
逃げ出そうとしても、扉はミランの指示で既に閉じているために、逃げ出すことは不可能。
そして養父、フロワード侯爵も殺害し、ステアリード公爵に逆らわないように釘を刺すと、そのステアリード公爵の首に光の縄が掛かり首が飛ぶ。
それはミラン同様に指輪の遺物を持つピンク髪の男――今後いちいちピンク髪の男といか言うの面倒なんで、名前で――リル・オルラ。
「闇よ……」
「來のかたの獣よ……」
『有れ』
と指輪対決へ。
指輪の能力は互角、それでも戦局はミラン有利。
理由その1、ミルは正体を隠すために魔法を使えない、一方のミランは魔法を使わない理由はない。
理由その2、逃げ出そうにも虐殺の際に扉は締め切っていて、逃げ出すには指輪の能力を使う必要があり、もしそうすればそのミランの闇の獣がミル自身を襲うことになので、逃げ出すこともできない。
そんなわけでミルの劣勢は明らか。
そんなミルは別の選択肢を選ぶ。
すなわち別アイテムの使用。
“イーノ・ドゥーエ”の結晶。
その宝石から出た炎で辺りは火の海。
ミルはその間に來獣でさっさと脱出、でミランはミルを追うべきかの一瞬の逡巡の間に脱出不可能に。
そんなミランを助けたのは、シオンに言われて着ていたものの、勝手な行動をしているミランに腹が立って殴ってやろうと仲間を置き去りにして先行していたクラウ。
そしてシオンの所に來獣が現れる。
でもそれを難なく一掃するルシルというわけで、ミルはシオン暗殺も失敗。
ルーナ帝国の王の間。
そこに親善大使として乗り込んできたのはスイとクゥ――ガスタークの人間。
兄妹の次の目的地はアルアの故郷レジット村。
そして(実は半日後)馬車に乗ることに成功していたライナ。
彼らはルーナ魔法騎士団に追われるものの、ライナの魔法で迎撃しつつ、ククを迎えにレジット村に向かっていた。
そしてストオル皇国国境で入国審査をしているキファというところで次回に続く。
そして次回は勇者王登場。
大掃除(大粛清)回です。
ミランとフロワード侯爵の関係は、明言は避けましたか。
いや、十分伝わってきましたが。
でも僕はその辺自重しません。
フローワード侯爵の命乞いの言葉はこんな。
「……た、頼む、待ってくれ。それでも、それでも、私たちは、親子として、恋人として、十七年もの時間を過したのだ。少しくらいは……」
この辺以前の感想で少し触れようとして、結局触れなかった記憶が何となくある。
そして指輪対決はわりとあっさり気味だなぁ。
“殲滅瞳(イーノ・ドゥーエ)”の結晶。
そっか、これ殲滅眼だったのか、初見も2回目読みも普通に『忘却欠片』を使っていたのだと思っていましたよ。
ってか4巻(初版)“殲 眼”になってるんですけど、ミス? それともあえてボカした結果なのかなぁ。
思いっきり殲滅眼の特性が出てますね。
指輪の影が出した端から消えていくわけですから。
ただ威力は物凄く低くなっていますが。
屋敷の窓ガラスを突き破るほどでしたが原形留めていますからね。
中身はどうか知りませんが。
でも本来は砦をを燃やし尽くしていますから、やっぱりちょっと微妙。
個人的には襟首掴まれたまま言うミランの
「いま、クロム元帥閣下は、必至に逃げておられますが……実は炎はもう、消えているのです。ということは、いったい、あなたは、なにからお逃げなのでしょうか?」
がなくなっているのは寂しい。
ちょっとした余談。
僕がミランのことをフロワードと呼ばずにミランと書いていたのは今回の感想でフロワード侯爵って書くって思っていたからなんですが……。
フロワード侯爵亡き今、呼び方をフロワードにするべきか、ミランのままでいくべきか迷う。
ちなみに原作小説の地の文はフロワード。
一方で侯爵はカーラルだったのですが、カーラルって書くと途中で、カーラルって誰だよって感じで、書いてる最中に僕絶対に混乱しそうだと思ったので。
今回以前の感想。
#001 「昼寝王国の野望」 #002 「英雄と寝ぼけ男」 #003 「複写眼(アルファ・スティグマ)」 #004 「ライナ・レポート」 #005 「目覚め始めた世界」 #006 「暗がりに潜む者」 #007 「その手を離さない」 #008 「エスタブール反乱」 #009 「忘却欠片(ルール・フラグメ)」 #010 「夕暮れ」 #011 「悪魔の子」
伝説の勇者の伝説〈4〉大掃除の宴 (富士見ファンタジア文庫)
伝説の勇者の伝説 第1巻 [Blu-ray]
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