井出を下し、いよいよ全日本ジュニア出場権を手にしたエーちゃん。
影山らに手荒い祝福を受ける。
全国トップクラスの相手だけにずっとヒヤヒヤする内容の試合だった。
そでも大きなハードを越えたことには違いない。
「景山も佐々木さんも応援ありがとう。なっちゃんも来てくれたのわかった
よ。試合はもちろんかったんでしょ?」
「うん! これで一緒に全国行けるね!」
となっちゃんはVサイン。
Vサインを返そうとするエーちゃん、しかしそこで今頃になって手が震えて
きていることに気づく。
するとなっちゃんは躊躇なく、エーちゃんの手を握る。
照れるエーちゃんをよそに、
「大丈夫だよ。ね? 止まったでしょ」
と笑顔のなっちゃん。
エーちゃんは尚、照れながら「あ・・・・ありがとう・・」と。
その様子を見ていた景山は姫子に視線を向ける。
すると、
「今日はなんか・・・・大声で応援してたらスッキリしちゃった」
と笑顔を言葉通りスッキリした表情をうかべ、その様子に景山も安心した
様子。
そんな中、青井コーチが最後の何ポイントかがすごかったと評価。
それはエーちゃん本人のびっくりの結果。
でもすごい重圧を感じていたのを逃げず敢えてハッキリさせたらうまくいったことを説明。
その上、重圧を少し残し消す。それを繰り返していったら、最後の最後で身体の動きと頭の回転がよくなったのだと。
青井コーチはエーちゃんがそんなことをやっていたということに、驚きつつも、エーちゃんの相手と球とコートしか見えず、音も聞こえないくらい集中していたという話を聞き、「ゾーン」に入ったということだと説明。
人間が全力を出したとしても30%程度しか使っていないといわれている、でもゾーンはそのリミッターを外した常態なのだと。
例としては、車に轢かれそうになった人が「スローモーションのように見えたから助かった」といったもの。危機に瀕した時ゾーンに入ることで能力を最大限に発揮した結果なのだと。
でもスポーツ界では超一流レベルになるとそういう状態を自ら作り出せる選手もいるのだと。
エーちゃんは、あの色々な条件が奇跡的に重なったからこそできた、ゾーンが自ら作れるということに驚きを。
青井コーチの見立てでは井出は試合が競ってくると自然にゾーンに近い状態に入る選手。
それでも今回はエーちゃんが最後の最後はそういう井出に対抗したということ。
エーちゃんもまだ井出が強くなる気配を感じたため、あそこでブレイクできなければ勝てなかったと思うほど。
でも青井コーチは、どうあれ今回の勝利はエーちゃん自身が導いた結果だと。
青井コーチの言葉を反芻し、理性で重圧をイメージしたり、本能的にプレーしようとする過程で、確かに自分の力でゾーンに入ったという手ごたえも感じているエーちゃん。
アレックス戦、そして荒谷戦、そして今日の井出戦を思い出し、共通点を理性と本能のバランスがよかったことだと推察。
その上で、ゾーンの常態を意識的に作れるようなればと考え始める。
その頃、会場に井出敗戦の噂が広まる。
そして当の井出は負けてしまい約束を守れなかったことを、怪我をした少年に謝罪。
しかし少年は井出は悪くない、だから足が治ったら自分がエーちゃんを倒すと。
しかしその少年、テニスは未経験、これから始めるのだと。
でも井出はそれは最高にいい考え、テニスは最高に面白いからと。
「ただ、あいつを倒すってことは俺のライバルになるってことだ。そん時は覚悟しろよ!」
「うん!」
そんな井出の様子に井出友人達も一安心といった様子。
ただ、井出が全国ジュニアに出れないということには、ショックが隠せない様子。
でもインハイで結果を残せるだろうという意見も。
当の井出は、やることやっていれば結果は後でついてくる。それよりも実力で負けたエーちゃんにリベンジするほうが大事だと。
そこで井出は一大決心。
今年中に海外に行くと。
それもインハイが終わったらすぐ。
行き先もアメリカかヨーロッパと適当。
学校も、行くためのお金も、言葉、生活も、行けばなんとかなると楽観視。
しかし何も考えていないわけでもない。
今井出は身体が成長している時期。
その間に海外の一流選手の球を打っておきたいのだと。
タイミングを決めかねていたのだが、今決めた、もっとでっかい男になって帰ってくると宣言。
友人たちもその井出がどこにいようと応援していると。
そして本日の試合はすべて終了というアナウンスが。
そんな中、大音声を上げ、駆け寄ってくる人物が。
「アニキ〜〜!! 勝ちましたよおぉぉぉ!! 俺も全国進出ですぅ――!!」
エーちゃんに続き、諭吉も全国出場が決定。
それもエーちゃんのおかげ。
「プロ志望じゃない俺のことなんて誰も注目してくれないじゃないですか。注目されてるアニキは全日本が懸かった試合でガチガチに緊張してんだろーな・・・・なんて思ってたら、ガチガチどころかイチャイチャしてるっていうじゃないですか。
それ聞いたらなんか俺、もー怒りを通り過ぎて開き直っちゃって。力が抜けたのかよくわからないけど、とにかく絶好調!!
6-4、3-6、6-4の接戦を制して大勝利!!」
とテンション高めの諭吉。
そしてそんな諭吉にシンパしっている景山。
しかし諭吉は思わずうれし泣き。
一緒に全国頑張りましょう――という前に関東大会がまだ残っている状況。
いよいよ関東3回戦。
2回戦を勝ち抜いた時点で全国進出者16名は決定。
ここから先の戦いは全日本ジュニアのシードを決める戦い。
まぁ、勝ち残ったのは殆どがシード選手。
エーちゃんや諭吉同様にノーシードから勝ち上がったのは、佐々原圭と筧慶介。
基本的に主だった面々は勝ちあがっている印象。
地味に神奈川大会でエーちゃんに負けた16シード岸が落ちてますが。
今回はエーちゃんの覚醒――「ゾーン」の説明。
そして井出の今後の方針が語られる。
本当に井出は最後までサバサバした終わり方です。
そ・し・て!!
祝!! 諭吉全国出場。
まさか、諭吉がエーちゃんへの怒りを通り越した開き直りで、ゾーンに入っていたとは……。
次回タイトルは「友達の友達」。
うーん。
考えられるのは……友達(難波江)の友達(高木)?
難波江と高木同一テニスクラブ設定が何かしら意味を持ってくるのか?
同じ宿というのもありますし……。
ベイビーステップ(15) (少年マガジンコミックス)
以前の感想。
01巻(#1〜5まで収録)
02巻〜10巻までは書いてません。
10巻相当
#91 「前進」 #92 「ステップ」 #93 「潜在能力」 11巻(#94〜#103収録) 12巻(#104〜#112+番外編収録) 13巻(#113〜122収録) 14巻(#123〜#131+番外編収録) 15巻(#132〜#141収録) 16巻相当
#142 「大雑把」 #143 「不敗神話」 #144 「展開図」 #145 「投影」 #146 「応援」 #147「見えない敵」 #148「現状把握」 #149「直視」 #150「イメージ」 #151「タイミング」 17巻相当
#152「好機」 #153「今できる全て」 #154「前へ」 #155「ゾーン」
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